2017年 物理学科卒 江藤 開
5月3日〜5月5日に谷川岳雪上訓練に参加してきました。
しばらく途切れていた伝統行事でしたが、現役の希望のもとで数年ぶりの開催となりました。
【参加者(敬称略・順不同)】
現役: 近喰、齋藤、北條
理岳会会員:原田、江藤
世間はGWであるが、個人的には土日に仕事が入るかどうかというところだったので、参加できるかは直前まで確定せずご迷惑をおかけした。
日中の仕事を終わらせ、出先のコインロッカーにデポした荷物を持って土合に向かう。高崎まで新幹線で移動し、駅そばを吸い込んで上越線に乗り換えると、ちょうど終電で土合入りする予定の現役と合流できた。残念ながら参加予定だった高木さんは体調不良でお休みとのことだった。
私が現役時代よりずっと新しくなった電車に揺られることしばらく、今の現役にとっては初めての土合の地下ホームに着く。最近地下ホーム事務室で熟成されているという地ビールを横目に486段登る。地上までの階段を登り切ったところで、既に車で到着していた原田さんが待っていてくださった。
ところで土合の駅だが、待合室は駅カフェに、駅前にはグランピング施設と、様変わりしていて驚いた。どうやらコロナ禍明けに整備されたようである。
こうして参加者が全員そろったところでこの日は休み、明日からの行動に備えた。
事前の情報によると、例年に比べてかなり雪が少なく、稜線上はほとんど雪が融けているとのことであった。はたして雪上訓練をするだけの雪が残っているのか、沢は増水していないのかという不安を抱えての出発であった。6時半頃土合駅を出る。
幸い、沢の水量はそこまで多くなく、登山靴のまま渡ることができた。天気も良好で、歩いていると汗ばむくらいである。緑が大変美しい。しかしながら、進めど進めど雪が見当たらない。自分が大学1年生の時の雪訓が吹雪いて寒かったことを思い出すと、この雪の無さは驚きである。結局残雪を踏むことのないまま巡視小屋まで到着した。
雪が残っていないため、地面に直接テントを設営し、荷造りをしてから雪訓に向かう。だが、茂倉沢はごうごうと水が流れているのが見え、とてもではないが歩いていけない。この時点で嫌な予感はしていたが、一縷の望みをかけて夏道を旧道に向けて登り始める。さすがにここまで登って来れば所々雪は残っているものの、茂倉沢出合までたどり着いて唖然とした。あまりにも雪渓が薄く、これ以上進むことは無理であった。しかたがないので、旧道の脇に残った雪の斜面を使って、こじんまりと雪訓をやることにした。
現役のうち、北條君は1月の天狗岳に一緒に行っていたので、雪山経験があった。今の現役には、少しずつスキルアップして、より難易度の高い登山に挑戦したいという気持ちがある。まずは基本からキックステップ・トラバース・ピッケルワークなどを練習していく。小さな斜面なのですぐにぐずぐずになってしまったが、お昼過ぎまで雪と戯れた。
午後は雪渓上で使えるザイルワークを学び、確保と制動を練習した。あまり距離がないので迫力は出ない。一応ひととおり内容はこなしたが、全体的には物足りなさを禁じ得ない。今後雪上訓練を開催するとしたら、時期を早めるか、場所を変えるかを考えなければならないかもしれない。
野営地まで戻ると、原田さんの冷やしてくださっていたビールを飲みつつ、夕食前のおやつタイムとなった。私は治一郎のバウムクーヘンを持参した。本当はホールケーキでも持たせてあげようかとも考えたが、現役の人数も少ないし、気温も高く痛みそうなので自重した。近喰君はビンでウィスキーを持ってきており、ふんだんにふるまってくれた。齋藤君は料理風景の撮影に余念がない。しばしとりとめもない話しつつ、晩飯までゆっくりとした。
晩飯は現役お手製の野菜たっぷりの鶏鍋だった。山にきて野菜と肉が摂れるとやはりうれしい。大変美味しくいただいた。最近の現役は、米は飯盒炊飯ではなくもっぱらアルファ米ということで驚いたが、現代の技術もあって、違和感はなかった。
5月3日(日)晴れ
朝食は今も変わらぬマルタイの棒ラーメンで昨日の残りを平らげた。
さて、本来の予定であれば山頂を目指すところだが、雪もなく目的を失ったので、午前中は周辺の地形を使ってロープワークにいそしむこととなった。原田さんは関越が混む前にということで、朝一で出発された。
残ったメンバーで、まず基本的な懸垂下降とプルージックを使った登り返しの練習をしたり、木を登る為のロープシステムを考えながら遊んだりして過ごす。
昼前には撤収を済ませ、いよいよ帰路につくことになる。しかしここで一つ誤算があった。土合駅12:42発の電車に乗るつもりでいたのだが、マチガ沢を超えたあたりで、どうも間に合わなさそうだ、という声が聞こえてきた。今思えばバスという手段も考えられたのだが、若者に囲まれて私も若くなった気になっていた。次の電車が3時間後となるのは嫌だということで、気がつけば全員で走っていた。果たして、土合駅まで駆け上がり、無事目当ての電車に乗ることができた。一生懸命走った後の最高の笑顔は是非写真でご覧に入れたい。
その後だが、せっかく時間を巻くことができたので、現役には温泉でゆっくり疲れをとることを勧め、水上で別れた。こうして過去一番雪がない(?)雪上訓練が幕を閉じた。
残念ながら形だけの雪訓とはなったが、情勢により途切れていた伝統とノウハウの伝承が少しずつ行われるようになったことは喜ばしい事だと思う。現役世代からも山への意欲の高さが感じられ、我々OBとしてもそれに応えていきたいところである。
最近、現役では沢登りなどをしたいという気持ちもあるようである。監督でありながら情けないことに、私にはその手のスキルがないので、ぜひ専門性の高い諸先輩方にもお力添えいただけると幸いです。
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